HWYS評価⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
「作(ざく)」という銘柄で全国の日本酒ファンを魅了し続ける、三重県鈴鹿市の清水清三郎商店。その中でも「和悦」は、湧水のように清廉な口当たりと、喉を通り過ぎた後にふわりと広がる旨みの余韻が調和した、極めて完成度の高い一本です。雑味を感じさせない洗練された酒質は、日々の食卓を格上げする特別なパートナーとなります。
キャッチコピー
静かに始まり、確かに心を掴む。水の如き清らかさと旨みが調和する、完成された静寂の一杯。
基本情報
- HWYS評価:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
- お酒名:作 純米吟醸 和悦
- お酒名(原語):Zaku Junmai Ginjo Wa-Etsu
- 酒類:日本酒(純米吟醸)
- 原産国:日本
- 原産地:三重県鈴鹿市
- アルコール度数:15%
- 原材料:国産米
生産者・蔵元の背景とストーリー
三重県鈴鹿市に本拠を置く清水清三郎商店は、江戸時代後期から続く歴史ある蔵元です。この蔵を一躍全国区の名門へと押し上げたのが、革新的な銘柄「作」の存在です。彼らが目指したのは、単なる伝統の踏襲ではなく、現代の食文化に寄り添う「透明感」と「洗練」を備えた新しい日本酒の姿でした。
鈴鹿山脈の恵みである清らかな伏流水を仕込み水に使用し、その水質を最大限に活かす繊細な温度・発酵管理を徹底しています。職人の熟練した手仕事と、最新の醸造理論が高度に融合することで、究極のバランスを持つ酒が醸し出されます。「和悦」という名は「心がやわらいで、よろこばしいこと」を意味しており、飲んだ人の心に寄り添い、穏やかな幸福感をもたらすという願いが込められています。

一般的評価・製法・こだわり
「作 純米吟醸 和悦」は、過度な香りを抑え、口に含んだ瞬間のテクスチャーを極限まで磨き上げたスタイルが特徴です。華やかな吟醸香をあえて控えめにし、米本来の旨みと水の清らかさを前面に押し出す設計は、まさに「食中酒」の理想形といえます。
この酒造りにおいて重要なのは、発酵過程での徹底したストレスフリーな環境づくりです。急激な変化を避けることで、アルコール特有の刺々しさを抑え、驚くほど滑らかな口当たりを実現しています。その透明感ゆえに、どのような温度帯でも崩れることのない安定したバランスは、国内外の日本酒愛好家から高く評価されており、特に料理の繊細な風味を壊さない名脇役として、数多くの名店で愛飲されています。
実飲感想
グラスに注ぐと、そこには無色透明という言葉がこれ以上ないほど似合う、澄みきった液体が現れます。視覚的なノイズが一切なく、まるで鈴鹿の伏流水そのものを眺めているかのような清らかさです。
香りの第一印象は、冷たく透き通った湧水を彷彿とさせます。鼻を近づけると、静寂の中にふわりと米の冷涼な香りが立ち上がり、飲む前から喉の奥が潤うような感覚を覚えます。時間が経ち、少しだけ空気に触れると、奥底からほんのりと、優しく甘やかな気配が顔を覗かせるのが非常に魅力的です。
口に含んだ瞬間の第一声は「あら不思議」という驚きでした。まるで山あいの小川が滑らかに石の上を流れゆくように、驚くほどのスムーズさで喉へと滑り込んでいきます。角の取れた柔らかさが舌を包み込み、その後に確かな旨みがふわりと開花する。この「流れるような旨み」は、まさに職人技の結晶です。

特筆すべきは、温度による表情の変化です。少し時間を置いて温度が上がってくると、アルコールの存在感がかすかに顔を出しますが、それは決して「アルコール!」と主張するようなパンチではなく、あくまで全体のバランスを支える要素として品よく収まっています。フレッシュな爽快感が主役でありながら、余韻の最後には刹那の苦味が心地よく残り、味わいに奥行きとリズムを与えてくれます。
この酒を飲んでいると、ふと最高に美味しい焼き鳥屋のカウンターに座っている情景が浮かんできます。炭火で香ばしく焼かれた鶏の脂と、この和悦の圧倒的な透明感が出会ったとき、口の中でこれ以上ない調和が生まれるのです。どれだけ飲んでも悪酔いなど遠い場所にあると感じさせる、極めて高い安心感。一杯の酒が、これほどまでに心を穏やかにしてくれることに感動を覚えます。
総評・おすすめのペアリング
「作 純米吟醸 和悦」は、日本酒が得意ではないという方にこそ、ぜひ最初の一杯として飲んでいただきたいお酒です。主張しすぎないのに、確かにそこにある「美味しい」という余韻は、食事の時間を静かに、そして豊かに彩ります。
ペアリングにおいては、素材の良さを引き出す繊細な和食がベストマッチです。シンプルに塩で焼き上げた鶏肉、出汁をしっかりと利かせた煮物、あるいは新鮮な白身魚の刺身などが最適でしょう。食事の邪魔をせず、むしろ料理の味わいを一段階引き上げるこの酒は、日常の晩酌を特別なひとときに変えてくれる名品といえます。
まとめ
心をほどき、会話を邪魔しない、寄り添うような一杯を求めるなら「和悦」は間違いのない選択肢です。大切な人への贈り物としても、あるいは今日一日を頑張った自分へのご褒美としても、その清らかな味わいは等しく感動を与えてくれるはず。ぜひ冷やして、その透き通るような魅力をゆっくりと堪能してみてください。
